夏の訪問者
- keioguri2015
- 2022年7月3日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年7月6日
僕は横浜に住んでいるが、家の向かいには保護された森がある。
昨日の昼に立派な顎を持ったノコギリクワガタのオスが家のエントランス、コンクリートの上でひっくりかえってもがいていた。
毎年夏になると偶にクワガタが迷い込んでくる。
今回の訪問者は起こしてあげても、どうにも行き場を失っている様子で、
弱っていているようだった。
またすぐにひっくり返って自力で起き上がれない。
僕は小学生の娘たちや隣の昆虫好き少年に、クワガタを見せてあげて、
みんなが喜んだ後、明日の朝まで虫籠で餌を与え体力を復活させてから、
翌朝に向かいの森へ帰えそうと思った。
翌早朝、プラスティックの壁をカチャカチャ音を立てて動き回っていて、
与えたキュウリも僅かに食べたような跡があり、元気になったと思ったので、
お隣の少年が目覚めたらもう一度見せてから一緒に森へ帰しに行こうとおもった。
1 時間後そろそろ少年が起きてくるかなと思い、虫籠を覗いたら、
そこには息絶えたクワガタがカランと転がっていた。
ショックだった。
自然の摂理に全く意味のない優しさを抱き、
さらに子供たちを喜ばせようとした僕の浅はかな手出しが、
クワガタの最期の自由を生き苦しいプラスティックケースの中で奪ってしまったのだ。
僕と娘の心には鈍い後悔がしばらく残った。
娘と干からびたクワガタを森へ返し、せめても土に帰ることを願ったが、
あの時、例え弱っていて死が近かったとしても、せめてその最期くらい、
土の上で自由に歩いたりひっくり返ったりし、自然な流れで息絶えていく方が数倍よかったと思う。
全く誰にとっても喜べない自然への介入をしたものだ。
次に迷い込んできた訪問者がいたら、
迷わずすぐに森へ帰そうと娘と話した。
写真は、迷い込んできたときのノコギリクワガタ。
oguri kei

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