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デザインの講義

  • keioguri2015
  • 1月5日
  • 読了時間: 4分

更新日:1月21日

2024 夏

湘南にある大学のデザイン学科で2回にわたってデザインの講義をすることになった。

日々、ひとつひとつ目的の違うクライアントワークの中で考えたデザインプロセスを言語化して学生に伝える準備。

そもそも自分が取り組んでいる「デザインってなんだ?」

自分の整理と自問自答の日々が始まった。


そこでまず、2回のデザインの授業では、

1回目をロジック、2回目をフィーリングというテーマを掲げて話を進めることにした。


1日目の授業では

どうしても多くの人が想像するデザインという言葉に、クールやオシャレのような印象が先に立っていること。

もちろん大切なことだが、その前にひとつひとつのデザインにはそれぞれ問題を解決するというような目的があること。

そもそもDesignとは設計という意味だ。

ということから話をスタートした。


私の制作事例をいくつか挙げながら、それぞれに全く違う問題解決や目的があったことを丁寧に話した。

同じOGURIという人間がデザインしたブックでも、富裕層の大人が読む家具のブックと、小学生が読む教科書とでは、フォントのセレクトや大きさ、レイアウトの構造、全てが違うこと、

そこにOGURIの好みや趣味はほとんど乗っていなく、届けるべきひとたちに対してできるかぎり純粋な姿勢で

抵抗感なく情報が届くように色やカタチを追い込む。


次に周りのデザインの観察として、

コンビニなどで日々目に触れる商品のパッケージをヅラっと並べて、その色合いやマーク、フォント、レイアウトについてひとつづつ目的を想像しながらみんなでディスカッションをした。なぜ赤いのか、なぜ青いのかなど、並べた商品群に共通していることや、特化していることなどをひとつづつ拾い上げてディスカッションした。

どういう人がどんな状態の時に瞬間的に手を伸ばすのか。それらを言語化することによって、日々なにげなく手にとっているるデザインに込められた意思や理由を感じてもらえたと思う。

学生たちは直感的に思ったことをどんどん話してくれた。


さまざまな年齢層の方々が在籍する会社のロゴなどをデザインするとき、

感覚だけでこれがスタイリッシュだなどと押しても、経験や年齢の異なる人たちをひとつの方向に向かせることはとても難しい。

そこには色やカタチに込めたバックストーリーや理論を丁寧につたえるプレゼンテーションが必要になる。



2日目の授業では

1日目の話と矛盾しているようだが、、

ロジックの部分を、難しくならずにどうしたら自然に人に響かせることができるのか、

そこにフィーリング、感覚でものを考えるというプロセスが必要なことを話した。

これについては、これまで生きてきて見たもの、読んだもの、聴いたもの、人それぞれの経験からぼんやりと像が浮かぶような瞬間。

楽しい感じ。おいしい感じ。力強い感じ。都会的な感じ。など、スピード感をもって伝わる感覚。つまり無心で手を動かすプロセスのこと。


動画作品を掲げてカメラマンを交えながらのディスカッションも試みた。

カメラマンがファインダーを除いてグッと対象に寄っていく動きなどはまさにフィーリングだと思う。

ロジックを整えるだけらならデザイナーでなくても組み立てられる人はたくさんいる。


組み立てた理論を持って人をワクワクさせたり楽しくさせることはデザイナーができる豊かなことだということ。

デザインを考える時はロジックとフィーリングをいつも行ったり来たりする。

夢中になって進めていって、最初に掲げた問題解決から外れたら、またそこに戻ればよい。


この授業の依頼を受けたときに「デザインってなんなんだろう?」という自分に投げかけた問いに、今すこしだけ言葉にすることができるとすると。それは


ロジックを整えて、課題解決に向けて具体的に色やカタチを組み立て、

そのことを人をワクワクさせたり興味を惹かせるようにフィーリングで可視化する。


このロジックとフィーリングのバランスをとること。

もしかしたらこれが、デザインするということかもしれない。

と、この授業をしたことで、今おもっている。



oguri kei
















































 
 
 

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