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はじまった場所

  • keioguri2015
  • 2022年6月27日
  • 読了時間: 2分

数ヶ月前、祖母が他界して、

もう 10 年も前に先立ったじいちゃんのところへ行った。

そのことにより2 人が住んでいた家の解体が決まったので、

僕は解体前にその空き家を訪れておこうと ひとりでガラガラっと玄関から入っていった。


その家は僕が幼少期に毎日長い時間を過ごしたのだが、

家の中央に階段があり、その階段を上がりきったところに、

俳人だったじいちゃんのもうひとつの研究対象でだった絵画やデッサンがストックしてあるラックがあった。

やたらと裸婦画が多かったので本来の目的はどうだったかわからない。が、

どうやら熱心に通いつめた絵画研究所で仲間であろう方々の絵もストックされていて、

熱心に研究していたんだろうと思える。

小学生だった僕にとっては見たこともない油絵や木炭のデッサンがたくさんストックされていたので、

目の前に広がった世界に新鮮な驚きがあり、

そこにあった絵を片っ端から引っ張り出して何度も眺めていた。


そこにアリアスとアグリッパーの木炭デッサンがあって、それについて明確な疑問を抱いていた。

何故絵(2 次元のこと)なのに、目の周りが窪んでいるのか? ということが不思議でしょうがなくなり、

僕は絵を直接 触ったり、離れたり、斜めから見たり、その謎を解読するのにたくさんの時間を費やしたよう な記憶がある。

それは暗い暗い長い時間だったように思える。


そのおかげで僕は小学生から絵を描くときに光と影のことを考えるようになっていた。

もちろんその窪んだ表現なんか出来やしなかったけれど、描く目的があったから、

僕が描いたほとんどの絵には、ゴリゴリと何度も試行錯誤を繰り返した跡が残っている。


今思えば、自分がデザインを考えるようなことになっていった すべての始まりは、

その階段の 1 番上での暗い場所にあったような気がする。



写真は当時触ったり離れたり見ていたじいちゃんの描いたアグリッパーとアリアスの

木炭デッサン。


僕が暗い暗い時間を過ごした階段。



oguri kei




























































 
 
 

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