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ギター弾きとギター

  • keioguri2015
  • 2017年6月7日
  • 読了時間: 2分

先日、塚本功さんというギタリストの写真集が発売されたので手にしてみた。

塚本さんはネタンダーズ、ピラニアンズ、小島麻由美、SLY MONGOOSEなどで演奏しているギタリスト。

細い身体でギブソンES-175Tというモデルのギターを1本だけ持ってバーやライブハウスに現れ、やさしい声でゆっくりしゃべりながら演奏を始める。

普通ギタリストというのは数十本のギターをコレクションしていて現場に合わせてギターをチョイスするイメージがあるが、塚本さんはこの自分のギブソン1本しか弾かない。しかもエフェクターも使わない。ピックもカポも道具は何も使いたくないと言っていた。要するにギターからアンプにシールドを直で繋いで、指で弦を鳴らすのみだ。

以前パーティのとき昔の話を聴かせてくれてすごく印象的だったのが、お酒に溺れていた時代の話だった。毎日悪夢にうなされて眠れなくなった事があるらしいのだが、僕が興味本位に悪夢ってどんな夢だったんですかと聞くと、「ギターが折れる夢だった」と言った。

ギターを弾く事を仕事にしギターと共に生きている人にとって、その関係を失う事は本当に怖いだろうなと思った。

木の棒と木の箱でできているただひとつの楽器とギリギリの関係を保って毎晩お客さんの前に出て行く姿はどこか果無げで美しい。

楽器 × 人がこの組合せでないと成立しないということが音も空気も含めて唯一無事の塚本スタイルを確立しているように思える。

写真を見たときギターの塗装のひびや剥がれ、触れている塚本さんの手からたくさんの時間の流れを感じた。

これからも塚本さん使用の1本のギブソンギターをアンプ直刺しでずっと鳴らし続けていてほしいと思う。

oguri kei


 
 
 

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