音楽の教科書のデザイン
- keioguri2015
- 2018年10月24日
- 読了時間: 2分
更新日:2020年12月31日
今年の仕事始めは小学校の教科書のデザインからはじまった。
出版社からデザインのリニューアルで使ってもらえる学校を増やせないかという試み。
先輩達4人のデザインチームに入れてもらい小学1年から6年までの音楽の教科書の制作がスタートした。
教科書というのは普通の書籍と違い、1ページ1ページを約50分近く使いながら解読したり試したりする。 よって1ページ1ページの役割がかなり平均的でじっくり寄り添うものである。
デザインをリニューアルといっても、ただモダンにするということではない。
利用する小学生にとっては手にした本が初めてのイメージとして記憶されるが、どこかいままでの教科書らしさのよなものも 絶対に必要であると思った。 選ぶのは先生達であるし、文科省などあらゆる大人達が関わることは意識していなければならない。
ページレイアウトは授業の内容を出版社からのゲラで解読することからはじまるが、 ここで驚くのは自分が小学生の頃より遥かに想像力を試すような仕組みが多くあった。
例えば、与えられた図形をある種楽譜と見立て、様々な楽器を使い表現してみる。
これは能や古典音楽でも使われていたような音楽の伝達手段に近いのではと思う。
高学年になると、コードやスケールのような概念がでてきて、このスケール内でアドリブをとってみよう。とか、 自分が小学生のころの音楽の解釈としてはちょっと信じがたい内容であったが、うらやまし。
デザインを進めるにあたっては、とにかく自分の趣味趣向を抑え、そのページを使った授業の目的だけを考えた。 が、実際小さなアイコンや、音を幾何学的なカタチで表現したりするとどうしても自分の癖や理論的でないイメージの表現が現れてしまい、
ほとんど最初のプランは通らなかった。
なんども先輩デザイナー達と相談しながらなんとか文科省用の本が完成した。
実際リリースされるのはまだ先であるが、子供達の手に渡るのが本当に楽しみだ。
日頃音楽のことばかり考えながら生きている僕にとって、手がけさせていただいた教科書が音楽だったことは、なにか運命的なことのようにも思える。
来年娘が小学校に上がるが、僕の住む地域でも自分が携わった教科書を使ってくれたら嬉しい。
がそこまで望むのはやめよう。
oguri kei
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